jiyouの日記

2007-09-13法華経の兵法

法華経の兵法

【ほけきょうのひょうほう】

四条金吾殿御返事

弘安二年十月 五十八歳御作

先度強敵とと(取)りあ(合)ひについて御文給いき委(くわし)く見まいらせ候、さても・さても・敵人にねらはれさせ給いしか、前前の用心といひ又けなげといひ又法華経の信心つよき故になく存命せさせ給い目出(めで)たし目出たし、夫れ運きはまりぬれば兵法もいらず・果報つきぬれば所従もしたがはず、所詮(しょせん)運ものこり果報もひかゆる故なり、ことに法華経の行者をば諸天・善神・守護すべきよし属累(ぞくるい)品にして誓状をたて給い・一切の守護神・諸天の中にも我等が眼に見へて守護し給うは日月天なり争か信をとらざるべき、ことに・ことに日天の前に摩利支(まりし)天まします、日天・法華経の行者を守護し給はんに所従の摩利支天尊すて給うべしや、序品の時・名月天子・普光天子・宝光天子・四大天王・与其眷属(よごけんぞく)・万天子倶(まんてんじぐ)と列座し給ふ、まりし天は三万天子の内なるべし、もし内になくば地獄にこそおはしまさんずれ、今度の大事は此の天のまほりに非ずや、彼の天は剣形(けんぎょう)を貴辺にあたへ此(ここ)へ下(くだ)りぬ、此の日蓮は首題の五字を汝にさづく、法華経受持のものを守護せん事疑いあるべからず、まりし天も法華経を持ちて一切衆生をたすけ給う、「臨兵闘者皆陣列在前(りんぴょうとうじゃかいじんれつざいぜん)」の文も法華経より出でたり、「若説俗間経書治世語言資生業等皆順正法(にゃくせつぞっけんきょうしょじせごごんししょうごうとうかいじゅんしょうほう)」とは是なり、これに・つけても・いよいよ強盛に大信力をいだし給へ、我が運命つきて諸天守護なしとうらむる事あるべからず。

 将門(まさかど)は・つはものの名をとり兵法の大事をきはめたり、されども王命にはまけぬ、はんくわひ(樊噲)・ちやうりやう(張良)もよしなし・ただ心こそ大切なれ、いかに日蓮いのり申すとも不信ならばぬ(濡)れたる・ほくちに・火をうちかくるが・ごとくなるべし、はげみをなして強盛に信力をいだし給うべし、すぎし存命不思議とおもはせ給へ、なにの兵法よりも法華経の兵法をもちひ給うべし、「諸余怨敵(しょよおんてき)・皆悉摧滅(かいしつさいめつ)」の金言むなしかるべからず、兵法剣形の大事も此の妙法より出でたり、ふかく信心をとり給へ、あへて臆病にては叶うべからず候、恐々謹言。

十月二十三

日蓮花押

四条金吾殿御返事