雪漆御書 

 雪漆御書 

【ゆきうるしごしょ】

西山殿御返事

建治二年 五十五歳御作

 青鳧(せいふ)五貫文給い候い畢(おわ)んぬ、夫れ雪至つて白ければそ(染)むるにそめられず・漆(うるし)至つてくろ(黒)ければしろ(白)くなる事なし、此れよりうつりやすきは人の心なり、善悪にそめられ候、真言・禅・念仏宗等の邪悪のものに染められぬれば必ず地獄にをつ、法華経にそめられ奉れば必ず仏になる、経に云く「諸法実相」云云、又云く「若人不信乃至入阿鼻獄」云云、いかにも御信心をば雪漆(ゆきうるし)のごとくに御もち有るべく候、恐恐。

建治二年丙子

日蓮花押

西山殿御返事