教育者最高会議

教育者最高会議

【きょういくしゃさいこうかいぎ】

2005年11月18日に行われた、創価一貫教育に携わる関係者に対する指導。ナポレオン、戸田先生の御指導を通して、教育によって真の人間主義に立脚した人材群を如何に輩出するか述べられている。

以下、

 一、きょうは創価学園、創価大学、創価女子短期大学の代表の教育者の皆さん、ご苦労さま!

 創価教育の75周年、おめでとう! (大拍手)

 今、東京富士美術館では「栄光の大ナポレオン展」が大盛況である。

 創立者として、関係者の皆さま、そして、ご来場くださった皆さまに、深く感謝申し上げたい。

 ナポレオンは、次の言葉を残している。

 「何人(なんぴと)にも教育を授けんとせるは、予が大なる希望の一なりき。予は学校を設け無料或は一般の人民が収入の範囲内にて支弁(しべん=支払い)し得る少額の学費にて何人にも智識を得易(えやす)からしめんと計りぬ」(長瀬鳳輔・榎本秋村著『ナポレオン史話』奈翁会)

 すなわち、すべての人に教育を受けさせたいというのが、ナポレオンの大いなる希望だったというのである。

 事実、そのために彼は、多くの学校や奨学金制度をつくった。ナポレオンは「教育」を重視した指導者であった。

 さらに彼は言った。

 「現在と未来はすべて教育にかかっている」(柳澤恭雄訳『戦争・政治・人間 ── ナポレオンの言葉』河出書房。現代表記に改めた)

 ナポレオンの言葉は、今なお色あせていない。否、ますます光っている。

 「教育の時代」の本格的な到来である。

 日本では少子化が進み、予想以上のスピードで、その影響が波及している。どの学校も、生き残りをかけて必死である。

 「教育の競争」「人材育成の競争」ともいうべき時代状況である。

 こうした厳しい時代だからこそ、私どもは「創価」の誇りに燃えて、一流の人間教育を実践してまいりたい(大拍手)。

◆◆≪プーシキン≫ 教育者は教え子に〔誇り〕と〔人間愛〕を植え付けよ

◆「教育が社会の不幸を阻止する」

 一、今月2日、私は光栄にも、ロシア芸術界最高峰の栄誉である「プーシキン金メダル」を拝受した。

 大詩人プーシキンもまた、教育を重んじていた。

 「教育の不在は、諸悪の根源である……教育のみが、新たな混迷や新たな社会の不幸を阻止することができる」とは、プーシキンの名言である。

 プーシキン金メダルの授与のため、はるばると来日してくださったバレンチン・シードロフ氏(同金メダル褒章(ほうしょう)委員会委員長)は、世界的にも高名な画家であられる。

 シードロフ委員長は、今回、東京の創価学園にも足を運ばれ、生徒たちと交歓してくださった。その折の感想を、次のように、率直に語ってくださっている。

 「一番感動したことは、学園生が『人の役に立てる人になりたい』と言っていたことです。

 その表情には深い思想が秘められ、内面からにじみ出るような輝きがあり、本当に感動を覚えました。

 創価教育は、人格を磨く教育です。学園生の表情が、それを証明していました。知識だけでなく、精神を学んでいることにも気づきました」

 また、「次の世代を担(にな)う子どもたちをどう育てあげていくか、創価教育がお手本となるでしょう」と、しみじみと言っておられたそうである。

 温かいご理解に、心から感謝申し上げたい。

 <シードロフ委員長は池田名誉会長と同じ77歳。金メダルの授与式の後、「池田先生は、私よりはるかにお若い。そしてお元気です。私も池田先生のように若くなりたいと、心から思いました」と語っていた>

◆創価教育に世界が喝采

 一、東西の創価学園を訪れてくださった多くの識者が、“日本を代表する学校”として、学園を高く評価してくださっている。創価大学も、同様である。

 これらはすべて、教職員をはじめ、卒業生、在学生、そして、ご父母の皆さまのお陰である。

 なかでも、教育に人生を捧げ、“どの子も宝の人材だ。皆をしっかり育てていこう! ”と、真剣に取り組んでくださっている教員の皆さんに、心からの感謝を捧げたい。

 「教育者は、教え子に、誇りと人間愛の精神を植えつけるべきである」と、プーシキンは言っている。

 学校の質は、教員の真剣さで決まる。

 入学してきた学生の面倒を見るのは当然として、さらに一歩深く、ご両親や家族の皆さまにも心を配り、安心していただけるよう、学校の教職員は力を尽くしていかねばならない。

 一流の学校は、すべてそのように努力している。学生の家族の心をつかんでいる。ここに、人間教育の大城(だいじょう)を発展させゆく重要な“ホシ”がある。

 教育者は、自分自身の栄誉や栄達を望むのでなく、どこまでも教え子に尽くし、人材育成に命を注いでいくことだ。

 私自身、学園生・創大生・短大生はもちろん、その一家一族が健康であり、発展し、勝利していけるよう、毎日、真剣に祈っている。

 大学も、「創大門」「新総合体育館」「新総合教育棟」をはじめ建設計画が順調に進んでいる。東西の学園も、ますます教育環境を充実させたい。

 皆が誇りをもって勉学に打ち込めるキャンパスを、堂々と、完壁に築き上げてまいりたい。これが、創立者としての私の決心である。

◆米(アメリカ)で評価される牧口先生の思想

 一、牧口先生の祥月命日(しょうつきめいにち)に当たる今朝(18日)、アメリカからニュースが届いた。

 それは、アメリカで最も権威ある「アメリカ教育学会」の2006年度総会の公式行事として、ボストン21世紀センター主催のシンポジウムが認定されたというのである。<明年の4月、サンフランシスコで開催>

 このシンポジウムは、20世紀を代表する4人の思想家を取り上げ、その教育思想の世界への貢献を顕彰し、宣揚(せんよう)するものである。

 その4人とは、アメリカの教育哲学者ジョン・デューイ、インドの詩聖ラビンドラナート・タゴール、ドイツ生まれのハンナ・アーレント、そして、日本の牧口常三郎先生である。

 シンポジウムの議長は、「ジョン・デューイ協会」前会長のデイビッド・ハンセン博士(コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ教授)が務められる。

 今月、このハンセン博士も、創価大学、創価学園を訪問され、わが創大生、学園生との出会いを、それはそれは喜んでくださった。

 <アメリカを代表する教育・文化研究団体の「ジョン・デューイ協会」は、「創価教育75周年」を記念する顕彰状を池田名誉会長に贈ることを決定。今月9日、ハンセン博士が創価学園を訪問し、贈呈式が行われた>

 ハンセン博士は、神奈川で行われた講演会で、こう語ってくださった。

 「創価教育は、牧口初代会長の先駆(せんく)的な思想から出発しました。その思想は、池田SGI(創価学会インタナショナル)会長に受け継がれ、世界に広がっています。創価の思想は、今や全世界の希望であり、世界の平和と繁栄の象徴です」と。

 牧口先生の教育思想は、今や、世界的な注目を集めているのである。

◆最も苦境の時に創価大学を構想

 一、牧口先生はつねづね、創価教育の未来を見つめ、「大学をつくりたいな。大学をつくれば、優れた人材が出てくるだろうな」と言っておられたという。

 昭和25年の11月、戸田先生の事業が最も苦境にあったとき、「創価大学」の構想を戸田先生からお聞きした日のことを忘れることができない。

 場所は、西神田の会社の近くにあった、日本大学の学生食堂であった。

 戸田先生は言われた。

 「大作、創価大学をつくろうな。

 私の健在のうちにできればいいが、だめかもしれない。

 そのときは大作、頼むよ。

 世界第一の大学にしようではないか」

 それから、55年 ── 。

 私は、牧口先生戸田先生の構想を、完壁に実現することができた。

 両先生が願われた通りに、創価教育の大学・学園から、きら星の如く、優れた人材が澎湃(ほうはい)と躍り出ている。

 世界の心ある識者が、創価の人材育成に、「教育の世紀」の希望を見出している。

 私どもは一段と総力をあげて、社会に貢献し、新時代を創造しゆく、宝の逸材を育ててまいりたい(大拍手)。

◆タゴールの学園の誉れの卒業生

 一、明年のアメリカのシンポジウムで、牧口先生とともに取り上げられるインドの大詩人タゴールも、偉大な学園の創立者であった。

 タゴールの学園の卒業生たちは、創立者の理想を掲げて、世界で活躍していった。

 「貧困と戦う経済学」を提唱され、東洋人として初めてノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・セン博士も、誉れある卒業生の一人であられる。

 「アマルティア」という名前は、「永遠に生きる者」という意味で、学園創立者のタゴールから名付けられたと、うかがっている。

 一、先日、私は、ガンジーの高弟ジャムナラル・バジャージの精神を継承する「バジャージ財団」より、栄えある「ジャムナラル・バジャージ国際賞」を受賞した。<授与式は今月4日、インドのムンバイで行われ、代理授与された>

 その際、証書とトロフィーを授与してくださったのが、このセン博士である。

 博士は、創価の人間主義に深い理解を示してくださっている。

 セン博士は語っておられる。

 「不正義を自ら起こさなくとも、放置すること自体が不正義だというのが、タゴールの考えだ。要するに自分として何ができるか、それが重要なのだ」(1999年1月1日付、東京新聞・中日新聞のインタビューから)

 悪を見過ごす傍観者であってはならない。まず自らが、正義のために立ち上がれ!行動を起こせ! ── 創立者タゴールのこの教えが、セン博士の学問と思想、そして人生に、誇り高く脈動しているのである。

◆◆◆ 〔牧口先生〕教師は正義の実行者たれ

      ── 学生を大切に! 学生の父母を大切に!

◆自分の行動で模範を示せ!

 一、創価の父である牧口先生は、教育者には、悪と戦う使命があることを強調されている。

 「教師が、教師としての尊敬を受ける、最大要件は、正邪善悪(せいじゃぜんあく)の判断と実現であり、単なる口舌(くぜつ)の説明のみに止らず実践躬行(じっせんきゅうこう=自分で実際に行うこと)による一の示範(しはん)である」(『創価教育学体系』所収「教権確立論」)

 “口先”だけではいけない。自らの行動で模範を示せということである。

 「正邪善悪を識別せしめることを以て第一の職とする教師の地位にあって居ながら、自らその本質に背馳した(はいちした=背いた)行動を敢てし恬として(てんとして=平然として)自覚せざるが如きは、真にそれこそ教師の職を冒涜(ぼうとく)するものといわねばならぬ」(同「教師即教育技師論」。現代表記に改めた)

 正と邪、善と悪を明確に識別する。そして、正義と善の勝利のために、勇敢に戦っていく。それこそが、教育者の使命である。

 その実践が、社会を根底から変えていくのである。

 一、ローマクラブ名誉会長のホフライトネル博士は、私との対談で、教育の根本の魂について、こう指摘しておられた。

 「もし教育する側の人たち(親、教師、さらにいえば社会全体)が、自らの手本を通して生徒たちに倫理や道徳の価値を伝えなければ、教育や学問は単なる知識の伝達に終わってしまうと、私は考えています。

 ゆえに、日常生活における私たちの行動と、私たちが口にする価値観とが一貫性を持ち、矛盾していないことが必要です」(『見つめあう西と東』第三文明社)

 要するに、問われるのは、教育者自身の姿勢であり、行動である。

 またそれは、博士が言われる通り、人々を導く立場にある、すべての人間に当てはまる。

 言うことと、することが違う人に、人はついてこない。人を育てることはできない。

 まず自分自身が、人間革命に挑戦していくことである。

◆深く根を張れ

 一、タゴールの学園の創立は、1901年。

 タゴールが私財をなげうって学園を創立したとき、彼は40歳であった。

 思えば、あのプラトンが学園アカデメイアを創立したのも、40歳のころ。

 創価学園が開校したとき、私も40歳であった。

 タゴールは言った。

 「人間の活動は、木の枝のようなものである。根の部分に相当する知性が不能になると、全体が枯れる」(森本達雄訳「主の御意志」、『タゴール著作集第8巻』所収、第三文明社)

 知性は「根」である。根をしっかりと、強く深く張っていなければ、自立することはできない。

 大きく成長することはできない。

 人間の一生を支えゆく、確固とした「根」を育(はぐく)むこと。ここに教育の大きな役割がある。

 一、タゴールの学園は、美しい自然環境に恵まれた天地、シャンティニケタンの地に建った。

 「シャンティニケタン」とは「平和の地」を意味している。

 帝国主義下の激動の時代にあって、タゴールは「全人類の最初の勝利の旗がこの地に掲げられるだろう」と宣言した(我妻和男著『人類の知的遺産61タゴール』講談社から)。

 そして、「人類の連帯」「東西文化の融合」「社会の改革」「全人的な教育」をめざして、戦いを開始したのである。

 植民地政府からは、反植民地運動の拠点とみなされ、学園に入学してはならないという指令が出されるなど、迫害は絶えなかった。

◆強い母校愛で学園は発展!

 一、幾多の苦難に直面しながら、タゴールの学園が発展していったのは、なぜか。

 その理由の一つに、創立者タゴールを中心として、教職員、そして学生が強い団結で結ばれていたことが指摘されている。

 学園の財政は厳しく、立派な建物はなくとも、創立者タゴールのもとには、各国各地から、有名な碩学(せきがく)、教授や教師が集った。皆、タゴールを慕い、その建学の精神に共鳴して、学園にやってきた精鋭ばかりであった。

 やがて、卒業生のなかからも、愛する母校で教鞭(きょうべん)を執り、後輩を慈(いつく)しみ育てゆく教育者が生まれていったのである。

 一、11月18日は、「創価教育の父」である牧口先生が、大著『創価教育学体系』を発刊して75周年の佳節に当たる。

 軍部政府の弾圧と戦い抜き、牢獄で殉難(じゅんなん)された牧口先生が、現在の世界的な創価教育の発展をご覧になられたら、どれほど喜ばれることか。

 牧口先生、そして戸田先生が掲げた創価教育の理想を担いゆく、創価学園、創価大学の代表の皆さまとともに、きょうよりまた、新たな前進を開始してまいりたい(大拍手)。

◆「声の力」が世界を変える

 一、牧口先生は、『創価教育学体系』に綴っておられる。

 「善人は古往今来(こおうこんらい)かならず強(きょう)なる迫害を受けるが、これを他の善人どもは内心には同情を寄するもののなんらの実力がないとして傍観するがゆえに、善人は負けることになる。

 ゆえにこれに抵抗して勝つものは、その中で僅少希有(きんしょうけう)の人のみである。

 かれらは四面楚歌の苦境に堅忍奮闘(けんにんふんとう)してようやく勝利を得る」

 正義の人は、必ず迫害を受ける。これが歴史の現実である。

 あらゆる困難を乗り越えてこそ、偉大な仕事を成すことができる。牧口先生は、こう確信しておられた。

 先月、亡くなられた中国の大文人・巴金(ぱきん)先生は記しておられる。

 「わたくしは屈服のできない人間である。わたくしは絶望のできない人間である」(池田武雄編訳『巴金回憶集』秋山書店)

 巴金先生とは4度、お会いし、文学の使命や哲学などをめぐって語り合った。静岡研修道場で懇談したことも、懐かしい思い出である。<1980年4月>

 文化大革命の迫害の嵐を乗り越えて、不屈の人生を歩んでおられた。忘れ得ぬ、深い魅力の光る方であった。

 巴金先生は、人々を陥れる卑劣なデマが猛威をふるった文化大革命の当時を振り返って、こう述べておられる。

 「本当のことを語る勇気があってこそ、デマを盲信しないで済むのである」(石上韶訳『巴金無題集』筑摩書房)

 非道な歴史を繰り返させるな! そのために真実を語れ。嘘を暴(あば)け!これが巴金先生の叫びであった。

 文豪・魯迅(ろじん)は青年への期待を込めて綴った。

 「真の声であってはじめて、中国の人と世界の人を感動させることができるのです。真の声があってこそ、世界の人とともに世界に生きることができるのです」(竹内好訳『魯迅文集4』筑摩書房)

 強き「声の力」が、人々の心を変える。

 新たな時代を開きゆく、原動力となるのである。

◆教師と学生が緑陰(りょくいん)で対話

 一、さて、詩聖タゴールがインドのシャンティニケタンに創設した学園では、教員も、学生も、真剣な向学の心、差別なき友愛の心で、固く結ばれていた。

 学園は全寮制で、皆が苦楽をともにした。そうしたなかで、深い精神性の伝統が築かれていった。

 タゴールは、教師と学生の間の人間的な結びつきが、非常に重要であると考えていた。

 彼は記している。

 「教えることの主な目的は、意味を説明することではなく、心の扉をたたくことなのだ」(山室静訳「わが回想」、『タゴール著作集第10巻』所収、第三文明社)

 ただ知識を授けるだけでは、真の教育とはいえない。教師との人格の触れ合い、心の交流が、生徒の心を開き、人間性を育んでいくのである。

 事実、タゴールの学園では、教師と学生が緑陰(りょくいん)で対話を交わしながらの教育が行われた。美しい師弟の交流があった。

 この学園は発展し、後に現在のヴィシュヴァ・バーラティ大学(タゴール国際大学)となった。<初等・中等教育の学校が併設されている>

 タゴール亡き後の1954年12月、当時のネルー首相がタゴールの学園の学長として卒業式に出席した。

 そして、タゴールの徳と学園創設の功績を讃えながら、“たとえ他の学校では、師弟の関係が希薄になったとしても、この学園だけは決してそうなってはならない“と訴えたのである。

◆◆ 教育とは知識よりも人間性の触発

◆◆◆ 若き友の心の扉をたたけ

◆◆ 共生を目指したタゴールの学園 

    我らは〔建学の理想〕に集った同志

◆人間主義の城

 一、タゴールの学園は世界に開かれていた。

 創立者タゴール自身が、自らの世界的な交友の広がりのなかで、各国の知性を学園に招いた。世界の名士が、頻繁(ひんぱん)に学園を訪れては講演を行い、若き頭脳に大きな触発を与えていったのである。

 学園には、各国から多くの留学生も勇み集ってきた。「わが学園は国際的である」 ── これが、皆の誇りであった。

 タゴールの学園は、世界の諸民族と諸文化の融和を目指す“人間主義の城”であった。

 創立の理念を反映し、国や民族、人種の違いを超越した、国際性豊かな人間性の世界が築かれていったのである。

 わが創価大学、そしてアメリカ創価大学も、国際性に富んだ「世界市民」の育成に力を注いでいる。

 とりわけアメリカ創価大学には32カ国から学生が集っており、「地球の縮図」というべきキャンパスで、豊かな国際感覚を養うことができる。

 先日、逝去されたインドのナラヤナン前大統領は、アメリカ創価大学の第1回卒業式に、「高い教育水準と建学の精神のもと、世界市民や文化・人間主義・平和・共生の世界的指導者を育成し続けていかれると確信しています」と深い期待の言葉を寄せてくださった。

◆平和の連帯を! 語学は重要な力

 一、タゴールの学園は語学にも優れていた。

 友人であるフランスの文豪ロマン・ロランを学園に招待する際に、彼はこう書き送っている。

 「私たちはすでに、私たちの学園にフランス語のクラスを開設しております。

 概して、私たちは語学に堪能(たんのう)のようです、それで、あなたがごく近い将来に都合よくおでかけくださるとしても、言葉の問題で、あなたのメッセージが伝わらないということはないと確信いたします」(森本達雄訳「ロマン・ロランヘの手紙」、『タゴール著作集第11巻』所収、第三文明社)

 世界に友情を広げ、交流を結んでいく。平和の連帯を築いていく ── そのためにも、語学は重要である。

 今、創価学園の英語力は一段と大きく向上してきているとうかがった。

 創大でも、海外留学をはじめ、語学習得のための環境の整備に力を入れている。語学を武器に、世界中で卒業生が活躍している。

 ともあれ、タゴールの学園には、選りすぐりの優秀な学生が集ってきていた。その学生を、タゴールは最大に大事にした。

 私にとっても、創価学園、創価大学・女子短大に集ってくれた生徒・学生は、一人も残らず、大切な大切な宝の存在である。志願してくださった方々も、同じである。全員の健康と成長、勝利と幸福を私は毎日、祈っている。

 また、最優秀の人材を送り出してくださっているご家族や、受験生の激励に奔走(ほんそう)してくださっている皆さまにも、心から感謝申し上げたい(大拍手)。

◆黄金の青春を

 一、今年も、創大生、短大生は、就職をはじめ各種の国家試験の勝利などで、素晴らしい結果を残してくださった。

 創価大学では、昨年9月に「キャリアセンター」を開設した。民間企業や国際機関への就職をはじめ、司法試験等の各種試験への挑戦などを応援している。

 センターの開設以来、進路に対する学生の意識も高まってきたようだ。

 職員の皆さまが、センターの充実に誠心誠意、力を尽くしてくださっているとうかがった。

 本当にうれしい。関係者の皆さまに、最大に感謝したい(大拍手)。

 学生の皆さんが、就職戦線に、また勉学に、学内の諸活動にと、真剣に取り組んでおられることも、よく聞いている。どうか、一日一日を大切にして、悔いなき黄金の青春を飾っていただきたい。「これだけは、やりきった」と胸を張れるような、挑戦の日々であってほしい。

 私は、全員の健闘と人生の勝利を、心から祈っている(大拍手)。

◆創立者の魂の歌

 一、これまで、創大・短大出身、学園出身の先輩方は、世界に、そしてあらゆる分野に、堂々たる「創価の道」を開いてくださった。その活躍の様子をうかがうことほど、私にとって、うれしいことはない。

 また、今は目立たなくても、青春時代の原点を胸に、社会の荒波のなかで必死に戦っている同窓の友もいる。その偉大なる奮闘の姿を、私は最大に讃え励ましたい。そして、これからも、ずっと見守っていく決心である。

 創大・短大、学園の誇りは、同窓生の連帯の強さにある。

 タゴールの学園の出身者たちもまた、深い母校愛と同窓の絆を胸に抱いていた。世界各国で卒業生が活躍している。

 タゴールのもとで学んだ、ある出身者は、20年ぶりに母校に戻り、同窓生の集いに参加した喜びを生き生きとつづっている。集いでは、学生時代に歌った母校の歌を、深い感激を込めて合唱したという。

 その歌詞は、タゴールの作であった。

 「われらのシャンティニケタン、われらには凡てにまして親しきもの」

 「われら何処に流浪(さすら)い、死ぬともシャンティニケタンは身近かにある」

 「われらが生命と生命を一つの調べにする、シャンティニケタン。

 われらの同胞(はらから)みなと一つの心にする、シャンティニケタン」(我妻和男訳を参照。平等通昭著『タゴールの学園我らのサンチニケタン』印度学研究所から)

 わが創価の同窓生もまた、同じ「建学の精神」のもとに集った誉れの同志である。その友情は、永遠である。

◆強き情熱で歴史を開け

 一、かつて、アメリカの名門ウェルズリー大学のカザンジン学部長は、「教育の荒廃を立て直すには何が大切か、教えてください」という学園生の質問に、こう答えてくださった。

 「それは『創価教育』という哲学に、すべて含まれています。

 創価教育は、一人ひとりの生命の尊厳という深い精神性をもち、全体の調和を重んじ、精神を真に解放する、重要な教育を推進しています。

 創価教育によって、世界は再び教育を立て直せるでしょう」

 世界の識者が、創価教育の発展に寄せる期待は、あまりにも大きい。

 「創価教育75周年」の佳節(かせつ)である、きょうの日を記念して次の句を贈りたい。

  学園生

    一人も もれなく

         勝利者に

  創大生

    一人も もれなく

         勝利者に

 アメリカの民衆詩人ホイットマンは、「情熱、それなくして人と呼べようか?」と述べた。

 情熱が歴史をつくる。

 情熱が世界を変える。

 私たちは、強き情熱と深き理想を胸に、教育の大業に邁進(まいしん)してまいりたい。

 どうか健康第一で、風邪などひかれませんように! きょうは、本当にありがとう!(大拍手)