録内・録外

録内・録外

【ろくない・ろくげ】

大聖人の御書として伝えられているものは、断簡・図録等を含めて900編を上回る。「録内御書」とは、大聖人の一周忌に門下が集成したものといわれてきたが、現在、この説は完全に否定されている。この第一次集成に収められなかったものを「録外」と称す。

 したがって成立史的見地からみると、『録内御書』の方が『録外御書』よりも権威を持つことになるが、近年、小林正博は、録内・録外のそれぞれが収録した全遺文を「真蹟現存」「真蹟曽存」「直・孫弟子写本存」「その他」の4種に分類して統計をとり、両書の信頼度を高めて再検討した。その結果、「真蹟現存」の遺文の数は『録内御書』(55編)よりも『録外御書』(57編)の方が上回り、また『録内御書』にも「その他」が37編あることなどが明らかになったという。(※『東洋哲学研究所紀要』第18号、「日蓮文書の研究(1)」2002年12月)

 このことから小林は、「かつては日蓮門流間での論争のルールとして、議論で引用できるのは『録内御書』だけというほど権威があったが、そんな神話はもう通用しない」と述べている。


【『日蓮仏教社会思想的展開 近代日本宗教イデオロギー松岡幹夫(東京大学出版会)】